標的型攻撃(APT)とは【図解でわかりやすく】
最終更新日:2026年7月16日
30秒でわかる結論
標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)は特定組織を狙い、長期間潜伏しながら情報を盗み続ける高度な攻撃。試験では「①4段階の流れ(偵察→初期侵入→潜伏・拡大→情報窃取)」「②標的型メールの特徴(業務・取引先になりすました巧妙な文面)」「③対策は入口+内部+出口の多層防御」が頻出です。
特定の組織を狙い、長期間潜伏しながら執拗に情報を盗み続ける高度な攻撃。無差別攻撃とは別物。
ばらまき型の迷惑メールと、あなたの会社「だけ」を狙う攻撃——怖さの質がまったく違います。
図解
解説
標的型攻撃は、不特定多数へのばらまきではなく、特定の組織を狙い撃ちにする攻撃です。その中でも特に高度で持続的なものをAPT(Advanced Persistent Threat:高度標的型攻撃)と呼びます。
典型的な進行は段階的です。①偵察:標的組織の事業・人員・取引先を調査する。②初期侵入:業務を装った標的型メール(取引先や上司になりすました巧妙なメール)などで最初の1台に侵入する。③潜伏・拡大:検知されないよう静かに内部を移動し、権限を広げる。④目的の実行:機密情報を外部へ送信する。潜伏期間が数か月から数年に及ぶ事例もあります。
この攻撃の恐ろしさは「入口で全部防ぐ」ことが実質不可能な点です。だから対策の発想が変わります——入口対策に加え、内部での検知(ログ監視・EDR)、出口対策(情報持ち出しの遮断)を重ねる多層防御と、「すでに侵入されているかもしれない」前提のインシデント対応体制が求められます。
試験では、攻撃の段階、標的型メールの特徴、「侵入前提」の対策思想が問われます。
具体例
①大手防衛関連企業:取引先を装った標的型メールでシステム担当者が添付ファイルを開封→マルウェア侵入→数か月間潜伏→機密設計データを外部送信。②標的型メールの特徴:差出人は実在の取引先名、本文は業務報告・見積書を装い、件名も業務関連で自然。③対策の組み合わせ:入口(メールフィルタ・添付ファイルサンドボックス)+内部(EDR・SIEM)+出口(DLP:情報持ち出し遮断)の多層防御。
間違えやすい類似用語
- 標的型攻撃 vs ばらまき型攻撃:ばらまき型は不特定多数へ無差別に攻撃(マルウェア付きメールを大量送信など)。標的型は特定組織を狙い撃ちにし、内部調査・なりすましで巧妙に侵入する。標的型の方が検知が困難で被害が深刻。
- APT vs ゼロデイ攻撃:APTは攻撃者の戦略・行動の様式(特定標的への持続的・多段的攻撃)。ゼロデイ攻撃はパッチ未公開の脆弱性を突く技術的手法。APTがゼロデイを武器として使うことが多いが、概念の層が異なる。
覚え方
APT=住み着く泥棒。入口だけでなく、中と出口でも見張る
試験での問われ方
情報セキュリティマネジメント試験では「①標的型攻撃の定義(特定組織への執拗・持続的攻撃)」「②4段階の攻撃フロー(偵察→侵入→潜伏拡大→情報窃取)」「③標的型メールの特徴(取引先・上司を装った巧妙な文面)」「④対策は多層防御+インシデント対応体制」が頻出。IPA「標的型サイバー攻撃への対策」も参照しましょう。
確認問題
特定の組織を狙い、偵察・侵入・長期潜伏・情報窃取という段階を経て執拗に攻撃を継続する高度な攻撃を何と呼ぶでしょう?
- A. 標的型攻撃(APT)
- B. DoS攻撃
- C. SQLインジェクション
- D. フィッシング
正解:A. 標的型攻撃(APT)
APT(Advanced Persistent Threat)は特定組織を長期間狙い続ける高度な攻撃。①偵察→②標的型メールで初期侵入→③長期潜伏・内部拡大→④機密情報の外部送信という段階が典型的です。入口だけでなく内部検知・出口対策の多層防御が必要です。
関連用語
出典・参考資料
監修:横浜ITコンサル合同会社
提供:横浜ITコンサル合同会社